2016年6月9日木曜日

林学、川村秀和、林裕介ら逮捕 太陽光設備を架空発注

 太陽光発電設備の工事などをめぐり、架空の外注費を計上して1億2千万円の所得を隠し、約3千万円を脱税するなどしたとして、名古屋地検特捜部は7日、愛 知県春日井市の電気設備工事会社「トーワテック」の社長林学容疑者(44)ら3人を法人税法違反などの疑いで逮捕し、発表した。特捜部は同日午後、名古屋 国税局と合同で林容疑者の自宅などを家宅捜索した。

 他に逮捕されたのは、電気工事業川村秀和(44)=同法違反容疑=、自営業林裕介(31)=証拠隠滅容疑=の両容疑者。

 特捜部や関係者によると、林学容疑者は川村容疑者と共謀し、太陽光発電設備の工事などを受注した際、その一部を川村容疑者に外注したように装い、2014年2月期までの3年間で1億2317万円の所得を隠し、3391万円を脱税した疑いがあるという。

 また、林裕介容疑者は、同社から外注費の支払いを受けたように装い、虚偽の請求書のデータを国税局に提出した疑いがある。

 国税局は14年9月から査察(強制調査)を実施。林学容疑者はこれまでの調べに容疑を否認しているとみられ、知人らは脱税に協力して謝礼を受け取ったこ とを認めている模様だ。捜査当局は、林学容疑者が指示したとみており、容疑を固めるため、強制捜査に踏み切ったとされる。

 信用調査会社などによると、同社は08年設立。ホームセンターやコンビニの新築に伴う電気工事なども手掛ける。売上高は14年2月期で約20億円。震災前の11年2月期の約5億円から約4倍に急増した。太陽光発電設備の工事の受注増が影響したとみられる。

■背景に「特需」、不正相次ぐ

 太陽光発電設備をめぐっては、設置業者や関連メーカーが国税当局から所得隠しの指摘を受けたり、脱税容疑で告発されたりするケースが相次いでいる。東日本大震災後、太陽光発電施設の急速な普及により「特需」に沸いたことも背景にあるとみられる。

 今年3月には、愛知県の電気工事会社が、未完成設備の経費を別の工事の費用に付け替えた、約1億1千万円の所得隠しが発覚。また、埼玉県の太陽光パネル を支える台をつくる業者も、売り上げを申告せず約5300万円を脱税したとして同月、所得税法違反容疑などで告発されたことが明らかになっている。

 資源エネルギー庁によると、太陽光発電は、発電した電気を電力会社に買い取らせる制度が始まった12年度以降、急激に導入が進んだ。名古屋市のある業者は「買い取り価格が高く、当初の約2年は売り上げが2、3倍に伸びた」と振り返る。

 相次ぐ不正に、国税局OBの税理士は「特需のもうけを将来の備えに回すため、税金をごまかしたのだろう」と指摘する。

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